のあろぐ

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【読了】荒木飛呂彦の漫画術


 9/1読了。友人から誕生日に贈ってもらっていた本(ただ実を言うとその前の日に本屋で自分で購入してしまっていたのでダブったという)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

 

 

荒木飛呂彦先生はまず「どういうキャラクターがいるか」から考え、「そのキャラクターを困難な状況に放り込む」ことでストーリーを作っていく。なるほど。短編集『岸辺露伴は動かない』を例に説明されている。

あとは、ヘミングウェイの短編からの分析の話も面白い。キャラクターや世界観を自然に滲み出させ説明はしないお手本として。何より荒木飛呂彦先生の批評眼がすごいのではないか…ここまで分析的にこの一節を見つめられない…

読みながらなるほど、と思うのは、荒木飛呂彦先生は描きたいものを書いているというよりは、やっぱり受け入れられるように描くということが大前提にあるということ。時代に合わせて作画も変える、古くならないように危機感を持つ。だからこその商業漫画家、プロなのだな。

ただ一方で、受け入れられるということを前提にしつつもやはり自分の色というものは出していて、こういうところに葛藤が生まれている。超がつく人気漫画家が悩み抜いた上での解答のエッセンスをこうして本で読めるというのは素敵なことだ。